俺の男に手を出すな1-1


 

 麻布にあるホストクラブ『LISK DRUG』
 去年丁度改装を終えて名前も新たにリニューアルオープンしたホストクラブである。有名デザイナーに内装を任せただけはあり、他のホストクラブとは一線を画した洒落た店内の時間は、今夜もまた、眠れない姫君と共にゆっくりと過ぎていた。

「うわ!マジでこれ貰っちゃっていいの?」
「うん、だって晶に似合うと思って買ったんだもの」
「有難う、嬉しいよ。七海さん」
「あのね、晶」
「うん?どうしたの?」
「明日なんだけど、一緒に夕飯でも食べに行かない?この前いいお店みつけたのよ」
「いいよ。店に来る前で良ければ」
「ほんと!?良かった。じゃぁ、同伴約束ね!」
「同伴って言い方やだなぁ……。デートって言おうよ」
「じゃぁ、デートね」
「七海さんとデートできるなんて、俺って超幸せだよ~」
「ホントに??」
「俺、嘘だけはつけないんだよね」

 店内に入ってすぐの脇に専属ホスト達の顔写真が飾られている。NO3からトップまでのホスト達は、巷のアイドルよりも余程美形揃いである。最近は写真加工の技術も進歩しており、如何に格好良く魅せるかが重要だったりするわけだが、『LISK DRUG』では上の指示で、極端な加工は禁止という珍しいルールがあった。

 というのは、写真をサイト等で見て足を運んでくれた客ががっかりしないようにという、ちょっとした計らいである。
 なので格好いいホストは格好良く、それなりの容姿のホストはそれなりの写真になっている。容姿で気に入って通ってくれる客もいれば、ホストの人柄を気に入って通ってくれる客もいるわけで、ありのままに近い姿を写したホストメニューは評判もなかなか良かった。
 ネットのホストクラブ情報サイトにお勧めのホストクラブの口コミを書く場所がある。下手な事をすればたちまち悪い噂が立ち、悪質なホストクラブはその噂で潰れることも少なくない。しかし、逆に多くの客からお勧めされたホストクラブは一気に客足が増えるという利点もあった。その情報サイトでも『LISK DRUG』はよく名が挙がり、【期待を裏切らないホストクラブ】という事で有名なのだ。
―─No3・前園 玲二
―─No2・木元 翼
そして、No1の額に飾られているのは、派手なスーツに身を包んだ男。
三上 晶(みかみ あきら)だった。
 明るめのアッシュブラウンに染めた長めの髪をサイドへ流し、アップバングスタイルで清潔感を醸し出している晶は、女心を擽る笑顔でこちらに目線を投げていた。目元の泣きぼくろがチャームポイントである。
「晶、あちらの卓から指名入ったぞ」
 フロアーにいるボーイが合図を送ってくる。晶は指で合図を返すと今相手をしている女性に向き直った。グラスに残る酒を飲み干し、隣に座る女性の手を握ると微笑む。

「七海さん、じゃぁ今日はコレ、本当に有難うね。明日、早速つけていくからさ」
「ええ、それじゃぁ。また明日ね」

 晶はもちろん席を立つ前のフォローも忘れない。
 ヘルプでついていたホストが晶の座っていた席に移るのを見届けて女性の手をとる。軽く屈んで彼女の手の甲にキスをした。頬を染めて恥ずかしがりながらも彼女は嬉しそうに笑う。

「じゃぁ、失礼します。七海様」
「もう、晶ってば」

 彼以外がこんな事をしたら女性は引くだろうが、晶は嫌味もなくすんなりとそういう事をやってのける茶目っ気がある。そしてこれが現在NO1の実力なのであった。
 勿論茶目っ気があればそれだけでNO1になれるわけではない。客の嗜好、性格、趣味に至るまでを全てインプットし、そこから相手が一番 喜ぶことをやっていかなければいけないわけだが……。
 そのタイミングや勘はやはり天性の物でもあり、晶は元からホスト魂を持っているという噂もあながち嘘ではないのかもしれなかった。日々のマメな努力と、場を和ます明るい性格、プラス容姿と話術。それらを完全に備えられているホストは意外に少ない。


 晶が次に向かったのは、初めての客で少し年輩の女性だった。スーツ姿ではあるが、OLのそれではなく、胸元を大きく開けた派手な物だ。付けている有名ブランドのアクセサリーや持っている鞄、髪型や香水、現状でわかる限りの情報を瞬時に脳内で解析する。
 結果、同業者である可能性が高いと晶はふんでいた 。

「初めまして、指名を頂きました。晶です」

 初めての客、しかも同業者で年輩の女性は、最初は馴れ馴れしいのを嫌う事が多い。口調も敬語で接するのが間違いないだろう。成功する確率八割といった所である。
 晶は咄嗟にそう判断してにっこり微笑むと声をかけ隣に腰を下ろした。

「隣、失礼します」

 晶が座り、酒を作る間中、値踏みするように頭から足先までを観察されている。―この採点されてる感……―僅かに緊張するが、勿論それは顔に出さない。寧ろここで狼狽えているようならば、ホストには向いていないとも言える。―さぁ、何点がくるか!―それぐらいの気持ちでいる事が重要だ。物怖じしない晶に満足したのか、女性が笑顔を見せて鞄から煙草を取り出した。

「ふぅん……噂通りね」
「はい?」
「いえね、この店の晶って子が凄く可愛いって評判なのよ。うちの子達の間で。だから確かめに来てみたってわけ」

 うちの子と言っている所を見ると、やはり同業者のようである。相手が話してこない限り、こちらから職業や年齢を聞くのはタブーなので脳内のメモ帳に、【同業者(仮】と書き込んでおく。
 晶は笑顔で振り向くと煙草をくわえた女性にマッチを擦った。ここでライターを使わないのは、マッチをする仕草がセクシーだと女性に受けるからである。実は、これは晶が慕っている元No1ホストの彼からの受け売りなのだが……。真似出来ることは全てやる精神で、今はもうすっかり身についた自然な行動である。

「わざわざ俺に会いに来てくれるなんて嬉しいですよ。確かめた結果はどうでした?」
「あら、聞きたい?」
「ええ、是非聞かせて下さい」
「そうねぇ、40点……って言ったらどうするの?」

試すようにそう言って煙を吐き出しながら晶を見る客に、晶は予想外の反応を返した。

「ホントですか!?ラッキー。嬉しいです」
「え?40点なのに?貴方、変なホストね」
「いや、だって、今40点って事は、これからお話ししたりしてまだ60点分加算される余地があるって事ですよね。頑張り甲斐がありますよ!100点……、は無理かもだけど90点目指してみようかな」

 そんな晶の言葉を聞いて客は声を出して笑い、「40点なんて嘘だから安心しなさいよ」と微笑む。一気に距離が近くなったのを感じて、晶もにっこりと笑う。冗談を交わしつつも晶の脳内メモ帳には着々とこの客のデータが入力されていた。
──歳は45前後。指輪はしていないけど、既婚者。
──年下の男、しかも相当離れているタイプが好み。
──付けている香水はエンヴィ。
──着ている服装や持ち物からすると好きなブランドはエルメスって感じかな。
基本的なデータを集めた後は会話をしながら覚えていくことになる。

「これってエルメスの今年の新作ですよね。日本で未発表じゃなかったですか?」

ゆっくりと会話を始め、最初の語尾で尋ねる口調を混ぜれば余程じゃない限り返事が返ってくる。

「よくわかったわね?」
「丁度先日雑誌で見たんですよ。でも、本物を見たのは初めてです。凄くお似合いです」
「有難う。この前友人とね、パリに買い物に行った時に買ってきたのよ」
「パリに買い物とか、優雅すぎて想像を超える世界なんですが」
「そんな事ないわよ。今は皆海外に気軽に行ってるしね。やっぱり本場で触れて確かめてから買いたいじゃない?」

 日本でまだ販売していない物を身につけている女性はそのブランドに拘りを持っている事が多い。一番興味のありそうな話題から入っていくのが基本である。

「それはそうなんでしょうけど、中々行く機会もないですよね、普通。あと、俺、全然センスがないから、こうして上手くブランド品を身につけてる人って尊敬しちゃうな」
「あら、お上手ね」
「ひどいなぁ……。本当の事ですよ。今度、俺にもセンスの磨き方教えて下さいよ」
「そうね。貴方可愛いから、考えておいてあげるわ」
「やったー楽しみにしてます!」

 さりげなく、また会いに来て下さい、という気持ちを込めながら会話する。次に会って話すときの最初の話題にもなるからだ。相手に合わせて会話をするのはそう難しい事でもない、今も目の前の彼女が満足そうに笑みを零すのを見て、晶はその嬉しさを共有しつつ笑みを浮かべた。

 今のホストクラブはだいぶカジュアルになり、格好よかったり、話しが面白い男達と一緒に酒を飲んで楽しむ場というイメージが定着して来つつあった。料金も、高い酒をどんどん入れたりしなければ、普通の居酒屋で飲むより、若干高い程度で済む。初回はサービスで無料で何時間か遊べるホストクラブもあるぐらいだ。
 しかし、昔のホストクラブは、値段も高く敷居も比例して高かったというのもあり、今でも結構年配の女性が多いというのが現状だ。会社の役員であったり、店の経営者であったり、ホステスであったり。他には旦那が金持ちで、ある程度好きにその資金を遊びに使えるマダムなど。そういう年配の女性は、可愛がられるより可愛がりたい人が多いのだ。年下の男に尽くし、甘やかしてあげたい、そんな願望を持っている女性達には少し甘えるぐらいの接客が喜ばれる。

 客の好みによって、接客を変えるというのはどのホストもやっている事ではあるが、「そこに演技をいれないほうがいい」そう教えてくれたのは晶を育ててくれた憧れの先輩が言っていた言葉だ。上っ面の性格を演出して客に合わせると、最初は良いがやはり長く続かない。だから、自分の中に元からある様々な部分を自分で理解し、客に合わせてその部分を強調していくのだと……。晶にも確かに『甘えたい自分』と『甘えさせてあげたい自分』があるわけで、そこを相手の好みによって切り替え表に出していく。そうすれば、どちらの晶も演技ではなくなるわけだ。
 言葉で言うと簡単だが、これを使いこなすようになるまで一年は掛かってしまった。その一年の間に失敗した経験も数知れず……。だけど、今はいい思い出である。

 そして今も昔もずっと変わらない晶の方針は『客に無理をさせない事』
 例え相手が大富豪であったとしても、その態度を変えるつもりはなかった。一緒に楽しい時間を過ごす事を大切にしているのだ。そんな晶の持つ客層は実にバラエティに富んでいて、同業者や芸能人もいれば、保育士や教職についている女性、普通のOLや女子大生や主婦までと様々だった。

 本当はホストがこんな事を言っていてはいけないのもわかっているが、無理をさせたくない理由は、彼女達の笑顔を見ていたいからだった。そう言うと聞こえはいいが、実際は、自分のせいで相手が悲しむ姿を見たくないからである。いつも楽しい場所で、美味しい酒を飲んで盛り上がっていたい。本当に笑っていたいのは――晶自身なのだ。


 晶がこの業界へと足を踏み入れたのは二十歳の時であった。当時大学に通いつつ空いた時間で、昼はレンタルDVDの店、夜は居酒屋、深夜はコンビニとバイト三昧の生活をしていたのだが、居酒屋のバイト先で仲良くしていた先輩の急な帰省により、彼が掛け持ちでやっていたホストのバイトを一週間代わることになったのがきっかけだ。
 自分にはホストなんて絶対無理!、何度も断ろうと考えた物の、先輩には良くしてもらっていたのであまり強くも断れず、結局は渋々ホスト代理を引き受けてしまった。そこのホストクラブはそれっきり行ってないが、その時の一週間が晶を変えたといってもいい。

 当時から合コンに顔を出しては盛り上げ役を買って出て、男友達からもよく声がかかっていたし、女子にも人気があった。そんな晶ではあったが、入店して2日で指名を取った事は流石に異例であり、その人気ぶりからそのままバイトを続けて欲しいとお願いされたりもしていた。自宅からかなり遠かったので、バイトを続けるのは断ったが、その時思ったのだ。ホストって楽しい、と。
 女の子の喜ぶ顔を見るのは純粋に嬉しかったし、普通に生活していて出会えないような人との出会いが多い事にも魅力を感じた。それはとても刺激的な毎日だった。華やかで賑わう場所にいるのが好きな自分にぴったりだと思ったのだ。

 そんなわけで、代理ホストを辞めてからは、今までしていたバイトを全て辞めてホストの求人を探すようになった。
自宅からそんなに遠くなく、店の雰囲気がいい所、そして、これが最も重要だった。尊敬できそうな先輩がいる店。その三点を満たす先を探すのに、かなりのホストクラブを回って面接を受けた。
 三つ目の『尊敬できそうな先輩がいる店』というのを望んでいるのには訳がある。全部のバイトを辞めてホストをやるからには、基礎からちゃんと学びたいと思っていたのだ。その為にはやはり目標となる先輩が欲しかった。見本になるような先輩がいてこそ、色々な事をその背中から学ぶ事が出来ると考えていたからだ。
 しかし、そうそう都合良くはいかなかった。他の二つの条件に当てはまるホストクラブは何件かあったが、『尊敬できそうな先輩がいる店』が全然ないのだ。居合わせた晶にガンを飛ばしてくるホストだったり、面接時に挨拶しても無視だったり……。これはやっぱり三つ目の条件はなしにした方がいいかもと晶も半ば諦め掛かっていた。かれこれ、10件以上の面接をもう受けているのだ。
 そんな時に、求人誌で丁度募集していた『LISK DRUG』を見つけた。

 自宅からは四十分、面接前に店をこっそり見に行った時に少し観察してみたが、派手な装飾の如何にもなホストクラブではなくちょっとしたバーのような佇まいも気に入っていた。
 『LISK DRUG』の面接を受ける前にも幾つか採用通知を貰っていたが、その中でここ『LISK DRUG』を選んだのは、条件を全て満たしていたからである。
 そしてその中で一番重要視していた『尊敬できそうな先輩がいる店』でもあった。
 当時No1を張っていた玖珂に晶は惚れていた。勿論変な意味ではなく人としての話である。名前は『玖珂 亮(くが りょう)』、現在は二号店のオーナーになっているが、晶が面接を受けたときは現役のNo1ホストだったのだ。

 玖珂と最初に会ったのは、面接の時である。時間を指定され、やや緊張しつつ時間ぴったりに店へと訪れた晶は、裏口から入った場所にある従業員部屋へと通された。そこに当時のオーナーと玖珂が同席していたのだ。うちのNo1だと玖珂を紹介され晶も笑顔で挨拶をする。玖珂は一言「宜しく」と言ってにっこり笑顔を返してきた。
 一目見て随分格好いい男だなとは思ったが、今まで何十件か回ってきた経験上、どこかでこうも思っていた。
「きっとまたNo1なんて、すかした奴なんだろうな……」と。

 以前一週間だけ代理ホストやっていた店のNo1を張っていた男も、見た目と第一印象だけは良かった。しかし、入店してすぐ指名をとった晶を疎んで、その後から結構嫌味を言われたりしたのだ。
「指名取れたからって、そんなはしゃいじゃって、君可愛いね」
 鼻で笑われ、表面上は「有難うございまーす」なんて調子よく返した物の、棘のある言い方だなと思っていた。
 彼は確かに女性に人気はあったのだろうが、開店前に店に出ると必ずと言っていいほど他の下っ端ホストと些細な事で揉めていた。それを見ていた晶に、他のホスト仲間が「彼はいつもあぁだから気にしない方が良いよ」と言ってるのを聞いてガッカリしたのを覚えている。人として尊敬出来る所は全くなかった。
――ホストってみんなこんな奴ばっかかよ。
 別にホストに夢を見ていたわけではないにせよ、楽しい仕事内容とは裏腹に少しずつ晶の中でホストへの夢が崩れていったのは事実だった。
 なので、今回の玖珂という男もきっとそんな感じなのだろうと想像していたのだ。しかし、この後、晶の想像はいい意味で裏切られる事となった。

 履歴書を提出し幾つか質問を受けている間、玖珂は口を挟むことはなく、手元の資料にただ何かを書き込んでいる様子だった。面接もそろそろ終わりという頃、内勤の従業員が申し訳なさそうに部屋に入ってきて、玖珂に何かを耳打ちするとすぐに出て行った。
 どうしたのかと思っていると、その後玖珂が席を立ち、「面接中に中座して申し訳ない。ちょっとお客様から呼ばれたので行ってきます」と告げ、晶に振り向き優しい笑顔を向けた。
「途中ですまない。もし、うちにくる事が決まったら、その時また君と会えるのを楽しみにしているよ。受かるといいね」
 上辺だけじゃなく、本当にそう言ってくれているのだというのが晶にもわかった。No1だからといって上からの物言いでも無く、客でも、まだ採用されたわけでもない晶にかけられた言葉に思わず面食らってしまい、晶は何も言葉を返さないまま玖珂が部屋を退室する背中を見ていた。
――いままでのホストと何か違う。
そう感じていた。

 無事に面接を終えた後、まだ開店前の店の中を見学させて貰うことになった。店内はまだ営業していないせいか静かで、掃除の行き届いたフロアを見渡すと結構広く見える。オーナーの後ろについてぐるりと卓を一周すると、一番奥の卓に先程客から呼ばれたと言って出て行った玖珂が座っていた。保育園児ぐらいの子供と一緒に。
 一体どういう事なのかと思い唖然とする晶の目の前でオーナーとその女の子が会話する。どうやら顔見知りらしい。

「お、美咲ちゃんの所の子か。久しぶりだな。また大きくなったみたいだな」
「あのね!ママも後から来るよ-。あとね、ママが亮お兄ちゃんと、おーなーによろしくっていってた」

 ホストクラブでNo1ホストが子守とか……、意味がわからずただその様子を見ている晶に苦笑してオーナーが簡単に説明する。その女の子の母親はホステスをしていて、玖珂の客なのだそうだ。その客と玖珂はだいぶ長い付き合いで、数ヶ月に一度、託児所が休みで母親の都合が付かない緊急時にだけ、玖珂が早くに店に出て面倒を見ているという事だった。店が開くまでには母親が迎えにくるそうだ。
 玖珂の言うお客様というのは、この小さな女の子だったのだ。どういう経緯でそんな事になっているのか知る術はなかったが、玖珂の膝の上で嬉しそうにはしゃぎ、一緒に遊んでいるその子供を見て、晶は思った。それだけ玖珂が客に信頼されているという証拠なのだと。上辺だけで、そこまでの信頼を得る事が難しいのも同時に理解している。
――ホストって凄い……。
 この店で、この人と一緒に働きたいと思った瞬間だった。そして、ホストという仕事を軽く見ていた自分を反省した。いつか自分も玖珂のように、男が惚れる男になってNo1になろうと心に決めたのだ。

 その後、無事採用の通知が届き、晶は晴れて念願のホストになった。これは後からオーナーに聞いた話しだが、晶に素質があるのを見抜いて雇うように勧めたのは玖珂だったらしい。あれからだいぶ経ち、No1に上り詰めた今でも、ホストを辞めたいと思った事は一度も無い。