俺の男に手を出すな3-10

俺の男に手を出すな 3-10   午前中の検査を終えて病室に戻り、澪は時間を潰すために携帯を開く。  撮るだけ撮って整理をしていなかった写真フォルダを開いて最初から眺めてみる。丁度1年前に機種を変更してからなので一年分の […]

俺の男に手を出すな3-9

俺の男に手を出すな 3-9    膝に乗せていた書類がバサリと音を立てて床に落ちた音で、椎堂は自分が眠っていた事に気付いて薄く目を開いた。昨夜、澪と別れてからは特に急を要する患者はおらず、待機をしている机の前で […]

俺の男に手を出すな3-8

俺の男に手を出すな 3-8    消灯時間が過ぎてすぐの時間帯は、まだ他のベッドでも小さなライトをつけて起きている様子がうかがえる。  澪もまた寝付けないまま、手元のライトをつけると夕方に玖珂が買ってきた雑誌を […]

俺の男に手を出すな3-7

俺の男に手を出すな 3-7    医局へと戻り、自分の机の椅子へと力なく腰を下ろした椎堂は外から差し込む薄い朝日を背中に浴びたまま独り言のように呟いた。吸い込まれていく空間からは何の返事も返ってこない。 「もう […]

俺の男に手を出すな3-6

俺の男に手を出すな 3-6    その次の日の当直の夜、椎堂はぼんやりと机に向かって頬杖をついていた。 さきほど自販機で買ってきたペットボトルのお茶を口に運んでそっとキャップを閉じる。時刻はまだ深夜3時、夜が明 […]

俺の男に手を出すな3-5

俺の男に手を出すな 3-5    裏庭から再び病院内に戻り、来た道を歩いていると、エントランスを通りかかった時、佐伯の耳に聞き覚えのある声が届いた。  先程電源を切った携帯を取り出して思わず画面を見る。勿論電源 […]

俺の男に手を出すな3-4

俺の男に手を出すな 3-4     回診を終えて、医局に戻る椎堂の足取りは重かった。先程服用した薬がやっと効いてきたのか気分は幾らか落ち着いてきたが、完璧にはほど遠い体調である。澪にも指摘されたが、きっと酷い顔 […]

俺の男に手を出すな3-3

俺の男に手を出すな 3-3     玖珂はすぐには言葉を返さなかった。  吸っている煙草がジリジリと短くなり、まるでそれが玖珂の心の余裕を削る導火線のように見えて、晶はただ黙ってその様子を見ている事しか出来ない […]

俺の男に手を出すな3-2

俺の男に手を出すな 3-2    慌ただしい一日をやっと終え、佐伯が帰宅したのは夜の11時近くになってからであった。  昼に結局連絡の取れなかった椎堂に途中で連絡をしようとは思ってはいた物の、そんな時間もとれず […]

俺の男に手を出すな3-1

俺の男に手を出すな 3-1    ――敬愛会総合病院の入院棟と外来棟を繋ぐ3階の渡り廊下にて。  佐伯は、いつもより数段早めた歩行速度で医局へ向かっていた。その後ろを製薬会社のMRが小走りで着いていく。  丁度 […]