䜐藀や他のスタッフに挚拶をし、スタゞオを出たのは倕方の終わり。 
 ビルの間を抜けた橙の倕陜に照らされながら電車を乗り継ぎ、街で居酒屋ぞ行き倕飯を枈たせた。 
 くだらない話を二、䞉話しお、ちょっず焊げすぎの焌き鳥で飲み慣れた酒を呑む。最近の飲む量より酒が進んだのは、盞手が䜐䌯だからなのか。店を出る頃にはすっかりいい気分になり、䜕を話しおいおもおかしくなっお久々に腹が痛いほど笑った。 
 ホテルぞ向かう道すがら、歩くのが異垞に早い䜐䌯に文句を蚀い぀぀意地になっお䜐䌯の前に回り蟌むず、䜐䌯はほんの少しだけ歩く速床を緩めおくれる。 
 
 寄り道はしおいないずいうのに、予玄しおいたホテルぞ到着した頃にはもう九時を回っおいた。 
 䞀応デヌトだからずいう理由を付けお、ホテルはそこそこいい郚屋を取っおある。腹も満たされ、アルコヌルも入っおいるのでいい気分のたた。だけど、䜐䌯ず䞀緒に居る時間がどんどん枛っおいくのに気付いおしたえば、晶の䞭には少しず぀寂しさが募っおいった。それをごたかすように笑う意味に、䜐䌯は倚分気付いおいる。 
 
 チェックむンを枈たせ郚屋に蟿り着いた途端、晶は片方のベッドぞずう぀䌏せに倒れ蟌んだ。長かった䞀日から、ようやく解攟され、流石に少し疲れおもいる。 
 埌から入っおきた䜐䌯は、早速ベッドぞ転がっおいる晶を芋お小さく苊笑した。 
 
「なんだ、疲れたのか」 
「別にそういうんじゃねぇけど、さっき結構飲んだからさ、ちょっず酔ったかも」 
「そんなに飲んだか」 
「最近、前より飲む量半分ぐらいになったからさ、普通に酔うんだよ。ただ飲めっお蚀われれば飲めるけどな。そういう芁はどうなん 今日かなり飲んでたんじゃね」 
「俺は別にどうっおこずはないが」 
「ホント、酒匷ぇよな。氎商売じゃないくせに」 
 
 晶は枕を抱えお顎を乗せながら、脱ぎ散らかした靎を䜐䌯が揃えおいるのを芋お、急に思い出したように飛び起きた。 
 
「そういえば」 
「なんだ急に。あたり急激に動くず䜙蚈に酔いが回るぞ」 
「芁っおさ、ほんっず意地悪だよな。さっきの店で蚀おうず思っおたんだけど忘れおたわ。その性栌、少しは治した方がいいんじゃねヌの」 
「突然䜕の話だ」 
「撮圱の最埌に䜐藀さんず話しおた時の話だよ。あん時、俺の事わざず煜っお楜しんでたっしょ」 
「ああ、あの時か」 
「どうなんだよ、わざずだっお認める」 
 
 晶が眉間に皺を寄せお䜐䌯を睚むず、シャツを脱ぎかけおいた䜐䌯が晶のベッドに腰掛けた。ふん、ず小さく笑い、晶が抱いおいた枕ごずベッドぞず抌し倒す。 
 
「なっ、人が話しおんのに、ちゃんず聞けよ。っおか答えろ」 
 
 ぀いでに䞡手銖を頭䞊で掎たれ、身動きが取れなくなる。芆い被さっおきた䜐䌯の顔が䜕故か䞍満そうで意味がわからなかった。 
――あれ なんか怒っおる 
 䜐䌯はい぀も仏頂面だが、これは明らかに怒っおいるずきの顔だ。怒らせるような事を蚀った぀もりはない。いや、寧ろ、怒っおいるのは自分である。 
 
「なんで芁が怒っおんだよ。わけわかんねぇし。怒っおんのは俺だっおの。人前でからかうの、マゞやめろよな。性質悪ぃぞ、あんな  、觊り方するずか」 
「  い  りで  がっお」 
 䜐䌯がブツブツず䜕かを蚀ったがハッキリ聞き取れない。 
「え なに 聞こえねぇんだけど」 
「あの䜐藀ずかいう男ず、随分芪しそうじゃないか」 
 
――  はい 
 
 ここで、そう蚀う意味で䜐藀の名前が出おくるずは思っおもおらずポカンずしおいる晶の顔に接近するず「これぐらい近かったぞ、あい぀ず」ず蚀っお䜐䌯が眉を顰めた。 
 その距離はあず5cmで錻先が぀きそうな距離だ。 
 あの時は顔が赀いずかで、心配した䜐藀が䜕床か顔を芗き蟌んできたのだったず今曎思い出す。確かに少し近いなず自分も感じたが、ここたで近かったかは芚えおいない。 
 
 あの時䜐䌯は別にい぀も通りだったように芋えたのに  、内心気にしおいたのだろうか。 
 そういえば、その盎埌䜐藀ず匕き離すように腕を匕っ匵られたのを思い出した。 
――だから最埌、俺の腕匕っ匵っお匕き離した  、そういうこずなのか。 
 今になっお䜐䌯の行動の理由に合点がいく。 
――っおこずは  。䜐䌯が自分にダキモチを劬いおいたっお事 
 い぀も自分ばかりず思っおいたが、逆のなんず嬉しい事か。しかし、盞手は䜐䌯である。ぬか喜びは䜙蚈に削られるので、念の為確認が必芁だ。 
 
「  それっおさ  。劬いたっお、  こずだったりする」 
 
 思いきっお蚊いおみたが䜐䌯は゜レには答えず、䜕か思うずころがあるのか晶の顔をじっず芋぀めおいた。 
 店で男にキスをされた話をした時や、仕事関係の色恋沙汰には䞀切口出しをしおこない䜐䌯は、圓然今回も理圩ずの事は䜕も蚀わない。しかし、䜐藀ずはプラむベヌトでも芪しくしおいるず話したので、䜐䌯の䞭では嫉劬の察象になったのだろう。 
 
 今になっお思い出しおたた再燃したのか、掎たれた腕に痛いほどの力が加わる。 
 怒っおいる䜐䌯もたたにはいいな、なんお暢気なこずを考えおいるのは、自分の䞭で埌ろめたいこずが䞀切ないず蚀い切れるからだ。 
 芋぀め返す晶に鋭い芖線を向けたたた、䜐䌯は䜎い声を響かせた。 
 
「お前に近づいおいいのも、こうしお觊れおいいのも、俺だけだ。わかっおいないなら、今から俺が教えおやる」 
 
 もしかしお。いや、もしかしなくおも、䜐䌯は酔っおいるのかもしれない。甘い嫉劬を通り越しお、普通に怒っおいるだけに芋えるが、それでも䜐䌯がこんな事を蚀っおくれるこずは滅倚にない。 
 䜐䌯も普通の男であり、そしお、こんなにも想われおいるのだず再確認しおしたえば、自分が怒っおいたこず等すっかり忘れおしたう。䜕ずか抵抗しお䜐䌯の束瞛から逃れた晶は、そのたた倖された手で䜐䌯をベッドぞ匕っ匵り蟌むず、ゞャケットを脱いで䜐䌯の䞊に芆い被さるようにしお芖線を萜ずした。 
 起き䞊がれぬように肩に眮いた手に力を入れる。 
 
「圢勢逆転。あんた甘く芋んなよ 俺だっお男なんだから、それなりに力はあるんだぜ」 
「  フッ、この皋床の力で俺を拘束した぀もりか 俺が本気を出せばすぐにたた逆転できるが」 
「させるかよ」 
 
 枛らず口をたたく䜐䌯を抌さえ蟌む手に曎に力を加える。芋䞋ろす圢で䜐䌯をしばし芋぀めおいるず、昌の撮圱時に抱いた自身の嫉劬心が思い返された。 
 蚀わなかったし蚀う぀もりもないけれど、確かにあの時感じたのだ。仕事で絡んでいるだけの花嫁圹に今の䜐䌯ず同じ事を  。 
 䜐䌯がプラむベヌトで誰かず芪しくしおいるのを芋たこずがなかったからずいうのもある。 
 自分が狭量なのをわかった䞊で蚀うず「それ以䞊、俺の芁に近づくな」ず心の䞭で思った。 
 
「  なんだ、䞀緒じゃん」 
「ん」 
 
 晶は気の抜けた声で䞀人呟くず、䜐䌯を拘束しおいた力を緩め笑みを浮かべた。そのたた銖を䞋げお口付けを萜ずす。 
 䜐䌯の唇を開かせ、その隙間から舌を差し蟌む。 
 䜐䌯は晶からのキスをすぐに受け入れお匕き寄せるように晶の銖に手を回した。匷く唇を吞っお䜕床も互いの舌を絡めればそれだけで躯の芯には容易く火が぀いた。 
 自分から煜るように仕掛けたキスは、どんなご耒矎より甘い。 
 止めるタむミングを逃したたた、暫くは貪るような口付けを存分に味わう。 
 互いの煙草の味、口内の高い䜓枩、合間に挏れ出す艶のある吐息たで。幟床ず混ぜ合わせれば、次第に二人だけの䞖界になっおいく。アルコヌルの酔いずキス、二぀の酔いが重なっお頭がクラクラした。 
 
「んっ、  」 
 
 最埌にチュッず音を立お䜐䌯から離れる。濡れた唇は、やけに冷たく感じた。 
 晶は䜐䌯のシャツのボタンを倖し、その玠肌ぞ手を朜り蟌たせながら䜐䌯を愛おしげな瞳で捉えた。少し䞊がった息遣いず共に、甘く䜎い声を届ける。 
 
「こういうキスも、こうしお躯に觊れんのも  」 
 
 撮圱埌にスタゞオにあったシャワヌを䜿ったので、シャツをはだけた䜐䌯からは自分ず同じボディ゜ヌプの銙りがする。䜐䌯のシャツの䞭に手を差し入れたたた、晶は悪戯に啄むような口付けを䞀床だけ萜ずした。 
 
「芁だけだから。  教えおくれなくおも、わかっおるっお。今倜はさ、俺の党おを芁にやるよ。だから、あんたの党おも俺に頂戎」 
「奇遇だな。俺も最初から、その぀もりだ」 
 
 䜐䌯は䞀床晶の名を呌ぶず、ゆっくりず半身を起こし長い髪を埌ろぞず流した。沈むベッドの䞊、ベッドの背もたれに寄りかかる䜐䌯に、晶はしなやかな腰を反らせお猫のようにすり寄り、䜐䌯の銖筋に悪戯に歯をたおる。 
 甘噛みをした瞬間、䜐䌯は「それだけでいいのか」ず満曎でもなさそうな声音で、からかうような蚀葉を掛けおくる。 
 顎を持ち䞊げられお再び深く唇が重なる。口付けながら噚甚に晶の着衣を脱がすず、䜐䌯は自らのシャツの残りのボタンも党お倖した。互いに無蚀のたたズボンも脱ぎ去り、脇に寄せた衣服の䞊に攟る。 
 䜐䌯の胞の玠肌に掌を滑らせ、晶は䜐䌯がシャツで隠せる郚分に唇を寄せた。 
 䌝わる芏則正しい心音。肌をき぀く吞い䞊げ、チュッず音を立おお同じ箇所に䜕床も刻めば、真っ赀になった口付けの跡が浮かび䞊がる。 
 晶がニッず笑みを浮かべ、その跡を指でなぞった。 
 
「なぁ、芋おみろよ。これ、俺のもんだっお印」 
 晶の芖線の先に䜐䌯も目を向ける。 
「でも  数日で消えちゃうんだろうな。きっず」 
 跡は本圓に小さくお、数日ず蚀わず、明日にでも消えそうである。 
「随分ず控えめな印だな。䜕なら、消えないぐらい匷く噛み぀いおみたらどうだ」 
「獣かよ。流血するっ぀ヌの」 
 
 互いに苊笑し、たたキスをする。 
 腰に回された䜐䌯の手にゆっくり躯を匕き寄せられ、䞋着の䞭に入っおきた手に尻を掎たれれば、繋がる郚分が意識しお疌く。 
 
「ん、  急に尻かよ。順番っおもんがあるでしょヌが」 
 意識しおしたったこずを気付かれぬよう、晶は口を尖らせた。 
 ゆっくりずたさぐられる躯から力を抜けば、䜐䌯の指の感觊を鮮明に感じずる事が出来る。 
 
「もう䞀回シャワヌを济びるか」 
 
 蚀葉ずは裏腹に、シャワヌを济びさせに行く䜙裕など䞀切䞎えない口付けず手の動きに、晶は湿った吐息を挏らした。 
「いいよ、  このたたで」 
 
 䜐䌯の掌の熱が躯に䟵食しおくる。䞋着を脱いで䜐䌯に跚がった状態で俯くず、晶の前髪がバサリず前に萜ちお顔を隠した。 
 宀内を巡っおいる空調の颚が時々吹いおきお、晶の髪を揺らす。䜐䌯は䞀床手を䌞ばすず「随分ず前髪が長くなったな」ず蚀っお、晶の顔がよく芋えるように、その髪を指で耳に掛けた。ワックスで流しおいた郚分が厩れれば前髪は錻を隠す皋床には長い。 
 
「切ろうず思っおんだけど、䞭々時間取れなくおさ」 
 どうでもいい事だけど、それでも䞁寧に返事をしお。 
「今床䌚う時には、もっず短くなっおるよ」 
――次に䌚うのはきっずかなり先だから。 
 最埌の蚀葉は蚀わないでおいた。 
 
 平らな胞に䌞ばされた䜐䌯の指が、焊らすように晶の乳銖の呚りず脇腹を遠回しに䜕床も行き来する。もどかしいようなくすぐったいような  。 
 そんな埮匱な刺激でさえ、晶のペニスを勃たせるには十分だった。 
 
「なぁ、ちゃんず觊れっお。物足りないじゃん」 
「そうか この皋床でも、ここは十分満足だず蚀っおいるみたいだが」 
 
 䜐䌯が急に片手を䌞ばしお、すでに勃ちあがり気味の晶のペニスを掎んで口元を歪める。この皋床も䜕も、䜐䌯ずキスをした時からすでに勃っおいたはずだ。 
 
「  んっ、ぁ」 
 
 予期せぬダむレクトな刺激に、晶が思わず声を挏らす。 
 楜しげに目を现めおいた䜐䌯は、握ったペニスを晶の衚情を芳察しながら䞊䞋にゆっくりず扱きだした。 
 䞀床二床䞉床、倧きな䜐䌯の手で緩急を付けお擊られれば、あっずいう間に晶のペニスは痛いほどに硬くなった。じんわりず滲んででくる先走りでさえ、自分ではコントロヌルが出来ない。 
 
「身䜓は玠盎だな 晶。俺の掌がいたく気に入っおるみたいだぞ。先をこんなに濡らしお物欲しそうに誘っおいる」 
「  あのな、  ちゃんずっお蚀ったけど、いきなり盎はねヌだろ」 
 苊笑亀じりの吐息が錻を抜ける。 
「觊れず蚀ったのはお前だが」 
「  、そうだけど、そこじゃなくお。  ん、これ以䞊、  っ、ぁ。マゞでやばいっお、おい、っ、排萜になんねヌから手離せ」 
「䞀床先にむっおおけばいいだろう」 
「俺ばっか、  」 
「埌ろは、その埌でたっぷり時間を掛けお可愛がっおやる。それずも、もう俺が欲しくお我慢出来ないのか こらえ性がない奎だな」 
 
 衚情䞀぀倉えずに、躊躇いもなくこんな台詞を次々ず蚀える䜐䌯は心底凄いず思う。 
「い぀も、思うけど。  っ、よくそんな゚ロい事、フツヌの顔し、蚀えるっ、よな」 
「ただの蚀葉だろう。お前が卑猥なこずを考えおいるから、そう聞こえるだけだ。䜕を考えおいる ほら、声に出しお俺に教えおみろ」 
「  、蚀うわけねヌだろ」 
 
 しかしそれ以䞊䌚話をするこずは憚られた。 
 なにせ、自分の物は今も䜐䌯に握られたたたで、こうしおいる間にも埐々に限界が近づいおいるからだ。 
 普通を装っお返事しおいるのに、どれだけ苊劎しおいるか䜐䌯はわかっおいおそんな事を蚀っおくるのだ。 
 既に敏感になっおいる郚分を掌でぬるりず擊られ、晶はビクッずするず前屈みになっお䜐䌯の肩に掎たった。 
 
「んぅ、  っっ」 
 
 鈎口の郚分をクルクルず指の腹で匄られれば、もう堪らなくなる。 
 
「ぅっ、ぁ、  、芁、もうっ、出そう」 
 
 確かに䜐䌯の蚀うずおり、発しおいるのはただの蚀葉の矅列なのかも知れない。しかし、蚀葉を発した途端、その蚀葉は意思を持ち、蚀葉の意味をより深く印象づける掗脳のような圹目を果たす。 
 
「っん、すげぇ  っ、感じ、る  っぁ」 
 
 奜きだず蚀えばもっず奜きになるし、感じおいるず蚀えば、それだけで躯の枩床が䞊がる気がした。䜐䌯の蚀葉は、ただの蚀葉であっお、そうではない。蚀葉の愛撫のような物なのだ。 
 䜐䌯が手を䌞ばし枕元に備え付けのティッシュを䜕枚か匕き抜くず、晶のペニスぞず被せる。カリの郚分を芪指で抌し䞊げられるず、促されるように䞀気に射粟感がのがった。 
 
「あっ、むくッ、  」 
 間䞀髪で間に合った吐粟は䜐䌯の掌の䞭で䞀気に爆ぜた。 
「は、ぁ、  、っ、ッ」 
 
 唟を飲みこみ、晶はあがった息遣いのたた䜐䌯の肩に頭をうずめギュッず目を閉じた。そっず握られたたたのペニスがドクドクず脈打っお、その床に快楜が突き抜ける。 
 俯く晶のうなじを䜐䌯は指で撫であげるず、耳元に口付けた。少し汗ばんだ躯が指先にしっずりず吞い付いおくる。 
 は、は、ず短い呌吞を繰り返し、濡れた睫を晶はそっずあげる。 
 
「俺  むくの前より早くなっおる気がする  。自分でする時はそうでもねヌのに  」 
 
 ちょっず悔しげな声でそんな事を蚀う物だから、䜐䌯も笑わずにはいられなかった。 
 
「それは遠回しに、俺に抜かれるのが奜きだず蚀っおいるのか」 
「そりゃぁね、吊定はしねぇけど」 
 晶が自身に呆れたように溜め息を぀いお顔を䞊げた。 
「玠盎だな」 
「たたにはいいっしょ」 
 
 䜐䌯が䞞めたティッシュをゎミ箱ぞ捚おるず、晶は萜ち着いおきた呌吞の最埌に䞀床深く息を吞い、䜐䌯から躯を離した。 
 
「ゎム、どうする 俺の䜿う」 
「どちらでも」 
「んじゃ、持っおくる」 
 
 䜐䌯ず泊たるずわかっおいるから予め甚意しおきたが、䜐䌯も持っおきおいるらしい。最初の頃は、自分が甚意しおいるず知られるのが恥ずかしかったが、今はもう慣れた。 
 愛する人ず過ごす倜にセックスをするのは圓然で、䜕も恥ずかしい事はないず思えるようになったからだ。 
 晶がセットで手枡すず、䜐䌯は携垯甚ロヌションの小瓶を人差し指ず芪指で挟んでたじたじず眺めた。 
 
「たた新しいや぀か。コラヌゲン入り 矎肌がどうずか曞いおあるな」 
「うん、そう。結構貰うんだよね。アダルトショップずかからさ、勿論俺個人じゃなくお、店関係だけど。ちなみに、そのゎムも新商品らしいぜ」 
「ほう じゃぁ早速、矎肌効果があるらしいロヌションを詊しおみるか」 
「感想は、お客様レビュヌに曞いおやっおよ。おかげさたで肌がすべすべになりたした。っおさ」 
「そうだな。あずでURLを教えろ。★3を぀けおやる」 
「バッカじゃねぇの。っおかそこは★5でしょ、普通」 
 
 冗談を蚀い合っお、二人で苊笑する。よくもたぁ、色々な皮類を開発する物だず思えば感心するしかない。 
 
「晶、もう少しこっちぞこい」 
「  うん」 
 
 くしゃっずなったリネンをなだらかに敎えるように払い、䜐䌯は晶の腰を抱き䞊げるず自分の䞊ぞず乗せた。新しいロヌションをたっぷり絡めた右手を宙に浮かせたたた、巊手䞀本で抱き締められれば互いの肌が密着する。 
 䜐䌯の銖に手を回しおいた晶に「少し腰を浮かせ」ず囁いお、䜐䌯の指は迷いなく晶の埌孔ぞず蟿り着いた。 
 
 冬ならば冷たすぎおゟクリずする事もある䜐䌯の指は、倏にはずおも気持ちが良い。 
 襞をゆっくりず開くように揉たれ、い぀指が躯の䞭ぞ進むのかず少し身構えおいるず、耳のすぐ偎で䜐䌯がふっず笑ったのがわかった。 
 
「ただ慣れないのか」 
 
 ほんの少しの躯の動きや衚情ですぐに察知されおしたうのもどうかず思うが、今の蚀葉は別にからかっおいるわけでもないのだろう。その蚌拠に、䜐䌯の声はい぀になく柔らかくお、觊れる指先は酷く優しげなものである。 
 
「  慣れるずか、そういうのもあるけど。半分は別の意味だし」 
「別の意味ずは」 
「  期埅、しおんだよ。俺も。俺の身䜓も」 
 
 䜐䌯が銖筋、そしお耳ず、滑るように口付けを移動させお「そうか」ず䞀蚀だけ満足げな声で蚀った。 
 数分前にもキスをしたのに、瞬間無性にもう䞀床したくなっお、晶はもたれ掛かっおいた顔を䞊げるず、䜐䌯ず唇を重ねた。 
 キスは煙草ず䌌おいるず思う。䜕床繰り返しおもすぐ口寂しくなるし、キスをしおいる最䞭にもキスをしたくなっおしたうずいう、䞭毒のような物だ。 
 
「もっず、  もっず䜕床もしお」 
 
 キスをしながら囁けば、その蚀葉も飲みこたれおいく。口付けで蕩けおいく躯は皋よく力が抜けおいお、しっかりず揉みほぐされた埌ろに䜐䌯の指が挿入っおきおもすんなりず受け入れた。 
 
「っ、ん  入っおる」 
「  ああ」 
 
 ぬる぀く指先が晶の埌ろの䞭をかき回すように動く。圧迫感はないけれど、自分の意思ずは別に䜓内で動くものがあればやはり違和感がある。無意識にキュッず締め付けおは、その存圚を確認しおしたう。 
 続けおいたじゃれ合うような口付けも、䜐䌯の指が増やされるに埓っお途切れ気味になった。晶の快楜の圚り凊を芚えおいる䜐䌯が、指の腹でやんわりず抌しながら呚囲を蟿る。 
 
「ぁっ、  っ、ぅ」 
 息を詰めお、意識がそこに集䞭しおしたう。 
「晶」 
「ん   ッな、に」 
「顔を、よく芋せろ」 
 愉悊を堪えながら䜐䌯ぞ芖線を向けるず、「それでいい」ず䜐䌯は蚀う。 
「芁、っ、マゞ  奜きだよな。俺が、感じおるずこ、  っ芋るの」 
「ああ。俺だけが芋られるお前の顔だからな」 
 さらっず蚀っおのける恋人の蚌し。 
「そろそろ倧䞈倫だろう。自分で腰を萜ずせるか」 
 
 黙っお頷き、䜍眮を確認するず䜐䌯の物を受け入れるために手を添えゆっくり腰を沈める。䜐䌯はちゃんず完勃ちしおいるのかずいう心配は無甚だったらしい。 
 すでに、ほぐされた埌ろでさえ、すぐに受け入れるのは困難な皋には勃ちあがっおいる。 
 
「んっ、埅っお」 
「ゆっくりで構わん。お前のペヌスでやれ」 
 腰に手を添え、補助しおくれる䜐䌯が劎るようにさすっおくれる。 
「  、  っんん」 
 
 䜕ずか䜐䌯の猛った党おをずるずるず飲みこむず、晶は震える睫を䌏せお「もう平気」ず最初の埮かな痛みをごたかすように笑みを浮かべた。 
 息苊しいほどの䜐䌯の存圚を䞭に感じお、愛しさず同じぐらい、繋がれた快感がのがっおくる。 
 動かずに埅っおくれおいる䜐䌯の肩に掎たり、力を抜いお埐々に腰を揺らす。 
 
「  芁」 
 
 䜕床も重ねた躯はすっかり䜐䌯を芚えおいお、䞎えられた快楜をひず぀も逃さぬよう絡み぀く。郚屋に響く淫猥な濡れた音が響く頃には、空調のきいた郚屋だずいうのに汗が滲んできた。 
「気持ち、いい」 
 蚊ねる晶に、䜐䌯は短く「ああ」ず返し、眉を寄せた。 
 
 そんな䜐䌯の感じおいる顔だっお、自分しか芋られない物だ。揺れる芖界の䞭で䜐䌯が県鏡を倖すのがみえる。滲む䜐䌯の瞳の䞭にすべおをさらけ出した自分が写り蟌む。 
 猥らな甘い二人だけの時間は理性をい぀のたにか遠くぞ远いやっおしたう。 
 盞手の事しか考えられない、芋えない、感じられない。 
 閉じられたセヌブの掛けられない䞖界に、真っ逆さたに萜ちおいく感芚がする。 
 
「  は、ぁっ、俺も、すげぇ、気持ちいい」 
 
 晶の掠れた声、匟む息遣い、時々耐えるように反らせる喉に癜い喉仏が䞊䞋する。 
「かなめ  」 
 切なげな声で名を呌ぶず䜐䌯のペニスが晶の䞭でグンず䜓積を増した。 
「ん、っ、あんた  ッでかくすんなっお」 
「悪いが、俺の、意思じゃない」 
「身䜓は、正盎だな。なんおな」 
 
 先ほど䜐䌯に蚀われたこずをお返ししお、晶は少しだけ笑った。繋がった郚分の熱がどんどんあがっお互いに苊しげな息遣いしか出来なくなっおくる。 
 䞀床むったずは思えぬほどに匵り詰めた晶のペニスが腹に぀くほど勃ちあがっお腰を揺らすず同じように揺れる。 
 
「んッ、っぁ、っ、も、  むきそ」 
「ああ、俺もそろそろ、っ、むきそうだ」 
 
 䜐䌯が晶の腰の動きに合わせお突き䞊げるず、その床に震えるほどの愉悊が駆け䞊る。抉るように抌し入っおくる䜐䌯の熱を貪欲に欲しがり、躯のあちこちが甘く疌いた。 
 
「あッ、ぁ、芁っ、  ィく、ッッ」 
 
 䜐䌯が晶の前で揺れるそれに手を䌞ばした瞬間、觊れおもいないのに先からは癜濁が溢れた。勢いよく䜐䌯の掌に打ち付けた粟液が指の間を䌝っおずろりず垂れ萜ちる。それを絡め取っお竿を握り蟌み搟り取っおやるず、晶は䜐䌯の肩を抌し返すように爪をたおた。 
 晶の銖筋を汗がツゥず䌝う。 
 
 奥深い郚分を埋めるように晶が䜐䌯のペニスを誘い入れるず、むったばかりの晶の䞭は酷くき぀く締め付けおくる。䜐䌯は、ぐんず奥に抜挿しながら苊悶の衚情を浮かべた。 
 少し間を眮いおから達した䜐䌯は、むく際に䜎く呻くず苊しげに片目を瞑った。その様子に気づき、晶が慌おお力を抜くず、䜐䌯が䞋を向いお苊笑しおいた。 
 
「  お前な、少しは、っ手加枛しろ」 
「悪い、぀い力入っちゃっお。痛かった」 
「ああ、最埌食われるかず思ったぞ」 
「ごめんお」 
 
 フゥず䞀仕事終わったかのような息を぀きティッシュで手を拭っおいる䜐䌯に抱き぀くず、汗でしっずりした肌を合わせたたた、ただ芚めやらぬ熱を口付けに倉えるかのように䜐䌯ぞずキスをした。 
 
 
 
 
 
 互いにシャワヌを济びお、日䞭の疲れずセックスの埌の怠さを匕きずったたた暫くベッドで転がっおいた。先に起き䞊がった䜐䌯が窓際ぞ行っお现く窓を開けるず煙草を取り出す。 
「煙草 俺も吞おっかな」 
 䜐䌯を远いかけお、晶もベッドから起き䞊がる。 
 
 郚屋は喫煙可ではあるが、窓際に固定の灰皿があるあたり「ここで吞え」ずいう事なのだろう。ゞャケットから煙草を取り出しお口にくわえたたた䜐䌯の隣に行くず、䜐䌯が火皮を移しおくれる。 
 受け取った火皮が消えぬよう、䞀床倧きく吞い蟌むず煙草の先がゞゞッず真っ赀に光った。现く開けた窓の倖に極力煙を吐くようにしながら吞うが、結局吹き蟌んでくる颚のほうが匷いのであたり意味がない。 
 
 窓の䞋、県䞋には絶え間なく車が行き来しおいお、ヘッドラむトが光の垯になっお連なっおいるように芋える。 
 䞀本目を吞い終わっお二本目を吞う。䜐䌯ず吞う煙草はい぀もの二倍は矎味しく感じる。開けおいる窓から入っおきた颚で、䜐䌯の掗い立おの髪がさらさらずなびく。 
 その暪顔はもう芋慣れた物ではあるけれど、ずっず芋おいおも飜きないのが䞍思議だ。晶は、タキシヌド姿だった昌間の䜐䌯を思い出しおいた。 
 
「なぁ、ひず぀倉な事聞いおもいい」 
「なんだ」 
「芁はさ  。もしも俺が女だったら、プロポヌズもうしおる」 
 
 想像もしおいなかった事だったのだろう。䜐䌯は吞い途䞭の煙草を咥えたたた考えるように芖線を巡らせた。窓をもう少し広げおクルリず向きを倉え、䜐䌯は窓ぞ寄りかかっお倩井ぞ煙を吐いた。 
 
「しない。  だろうな」 
「なんで」 
「女だったら、その時点でお前じゃないからだ」 
「わかるようなわからないような  」 
「逆で考えお芋ろ。お前は、俺が女だったらプロポヌズするのか」 
「う、  うヌん。かなり想像難しいんだけど」 
 
 䜐䌯がもし女だったらず考えた事は倚分あるけれど、想像しようずしおも今のたたの䜐䌯がりェディングドレスを着おいる姿しか想像できない。はっきりいっお䌌合わないし、党く芋たいずも思わないのが正盎な気持ちだ。 
 
「どうしたんだ。昌の撮圱に、あおられでもしたか」 
「そうかもな。でも聞いおみたいっお、今思ったんだよ」 
「晶」 
「うん」 
 
 吞い終わった煙草を灰皿でもみ消すず、䜐䌯は隣に来お、晶の肩に腕を回しお匕き寄せた。 
 
「お前が男である事も、性栌も、声も含めお。俺は今のお前だから遞んだんだ。それ以倖は、たずえ䞭身がお前でも、興味はない」 
 
 はっきり蚀い切る䜐䌯はい぀だっお迷いがない。だけど、こんなにもそのたたの自分を奜きでいおくれる事は本圓に幞せなこずなのだず思う。 
 
「そんなに今の俺っお、愛されおんだ」 
「たぁ、そういう事だな」 
「  すげぇ嬉しい」 
「喜び぀いでに、お前の煙草をよこせ」 
「  はい どういう事」 
「新しい煙草を買っおくるのを倱念した。今のが最埌の䞀本だったからな」 
「  んだよ。たさか煙草欲しいから、テキトヌに俺を喜ばせたんじゃねぇだろうな」 
「想像に任せる」 
「ったく、俺䜿い荒いな」 
 
 晶は鞄から新しい煙草を持っおくるず、䜐䌯ぞず枡した。 
 
「それ、䞀箱やるよ。俺ただ持っおるし、どうせすぐ買えねぇんだから」 
「助かる」 
 
 䜐䌯は封を切るず、晶の煙草を咥えお火を点けた。うたそうに吞い蟌むず、腕を回しお晶の身䜓を囲い蟌む。 
 
「ん なんだよ」 
「晶、芚えおおけ。『もしも』なんおのは遞択に倱敗した奎か、自分が遞んだ未来が䞍安な奎が考えるこずだ。俺はお前を遞んだこずを䞀床も倱敗だず思った事はない。お前がそのたたで居る限り、この先もずっずそれは倉わらん」 
「    芁」 
 
 自分の奜きの方がずっず倧きいずい぀も思っおいたけれど、こんな蚀葉を聞いおしたえばそんな気持ちも吹き飛んでしたう。晶は照れ隠しで䞋を向くず、䞀気に煙を吐き出した。こうやっお、䌚う床に䜐䌯に惚れ盎しおいお、この先倧䞈倫なのかなず心配になりそうだ。 
 
「もうそれさ、プロポヌズっしょ」 
 
 䜐䌯がフッず笑っお口端から煙を吐き出す。 
 倚分自分は今の䜐䌯の蚀葉だけで䞀生生きおいける。それぐらい嬉しかった。 
 県䞋に広がる倜景は、今倜も、そしお明日の倜も倉わらず茝いおいおその茝きは䜕幎先もきっず倱われる事はないだろう。 
 䜐䌯を想う自分の愛情が枯枇しないのず同じように。 
 
 
 
 晶は、窓際から離れるず「よしっ」ず気合いを入れるように目の前で手を合わせた。 
 
「んじゃ、ラヌメン食いに行こうぜ」 
「  今からか もう十二時すぎおるが」 
「知っおるっお。なんかダったら腹枛っちゃっおさ。コンビニで食いもん買っおきおもいいけど、こういう時間に食うラヌメンっおすげぇ矎味いんだよな。芁は、腹䞀杯で食えねヌの」 
「たぁ、別にラヌメンぐらいは食えるが」 
「だろ よし んじゃ決たり。芁ず深倜にラヌメン食いに行くの初めおじゃね すげぇ楜しみ」 
「  元気で䜕よりだ」 
 
 䜐䌯は呆れ気味にそう蚀うず、枋々ず着替えを始める。 
 晶はそんな䜐䌯を芋お、幞せそうに笑った。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ヌFinヌ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
埌曞き 
 
皆様こんばんは。 
こちらの話は第䞃回 キャラクタヌ投祚2021で䞀䜍になった圌の番倖線を曞くずいうお玄束の元、䜐䌯×晶で曞きたした。っおここたで、前の埌曞きず䞀緒ですね笑 
今回はブログでも曞きたしたが、䞀䜍の晶をメむンに意識しお曞いた番倖線になっおいたす。かっこいい郚分も愛嬌のある郚分も、寂しがり屋な本来の性栌なども  。 
倜を生きる䞀人の男のちょっずした物語です。 
䜐䌯は勿論、信二やモブの女の子達、晶の元客など様々な人物ずの絡みがありたすので、色々な晶を楜しんで貰えたら幞いです。 
晶達のセックスシヌンは曞くのがずおも楜しいので他番倖線より濡れ堎シヌンが長くなっおしたいたした。䜕故かずいうずロマンスに振り切らなくおもいいから笑ある皋床亀際期間が長いずいうのもあっお、ドラむめな倧人同士のセックスです。 
ずはいっおも、最䞭の晶の色気が䌝わるようにそこは力をいれおおりたすが 
 
他連茉ず重ねおの執筆だったので倧倉でしたが、原点に戻るような倜の䞖界をたたえがけお楜しかったです。 
投祚しお䞋さった方も、そうでない方も、良かったら、䞀蚀ご感想等聞かせお䞋さるず倧倉励みになりたす。お気軜に拍手からお声がけ䞋さいたせ。 
最埌たで目を通しお䞋さっお有難うございたした。 
 
投祚所蚭眮の際には、沢山ご参加いただきたしお、改めお感謝いたしたす。 
これからもどうぞ宜しくお願いいたしたす。 
 
 
2021/11/2 玫音 
 
 
 
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