自宅から駅までは歩いて十分ほどかかるので余裕を持って自宅マンションを出る。
もうすでに緊張してきて、先程食べた生クリームたっぷりのケーキが胃にもたれたような感じを訴えかけている。やけに喉が渇くし、頭の中はエメさんの事で埋め尽くされていた。思い浮かべる時に秋刀魚の着ぐるみで思い出してしまうのは、先ほどの狩りのせいだ。
会ったらまず挨拶して……。でも名前を知らないからやはり「エメさん」と呼ぶしかないのだろうか。向こうも「無休さん」と呼んでくるのかと思うと、これだからネットは……。と微妙な気持ちになってくる。
目の前に駅前の通りが見えてくる頃、小雨がちらついてきた。運が悪い。先ほどまで一粒も雨なんか降っていなかったというのに……。しかし、苦手だからと帰るわけにも行かない。
すぐそこに自分がバイトをしているコンビニがあって、ちらっと店内を覗くと誰もシフトを変わってくれなかったのか副店長が一人で店番をしている。
多分まだあのケーキが残っているのだろうなと関係ない事を少し心配しつつ、裕弥は駅前に辿り着いた。
待ち合わせ時間より五分早い。傘を差すほどではない霧雨ではあるが、眼鏡の自分にはちょっとやっかいだった。レンズに細かい水滴が付いて視界がぼやけていく。
始発駅でもあるので利用客の多い西町駅は数分ごとに人混みを吐き出してくる。顔も知らぬ相手をぼやけた視界で即座に見つけるのは至難の業のような気がしてきた。
周りの人物で待ち合わせをしていそうな人物を探しつつ視線を泳がせていると、胸元の携帯が振動を伝えてきた。見てみるとエメさんからで、今駅へ到着したという。
いよいよ緊張は昂まり、裕弥は吐きそうになるくらいの体調になっていた。うまく唾が飲み込めず、頭もクラクラする。 冷たくなった細い指先をギュッと握り込んでは自分に「大丈夫」と言い聞かせる。
一度眼鏡を外しハンカチでレンズを拭いて掛け直し深呼吸をした。こんなに緊張したのは大学の時に就職活動で面接を受けた時以来である。
――とりあえず落ち着け、俺。相手はエメさんじゃないか。
そう、毎日のようにチャットして何時間も一緒に遊んでいる慣れた相棒だ。いつもみたいにふざけた会話をして、すぐに打ち解けるはず。
自分に何度も言い聞かせている所でふいに背後から声がかかった。
「裕弥」
自分の事を名前で呼ぶ人物には全く心当たりは無かった。多分振り向いた自分は相当な間抜け面をしていたのだと思う。
振り向いた先に居る人物を見て、裕弥は目を瞠った。そこには、大学の時親友で、自分が今までで一番好きだった。――今も一番好きなままの……、彼が立っていたのだ。
随分大人っぽくなっていて、髪型も一切変えていない自分と違ってお洒落にセットなんかしている。とてもタメとは思えない。 だけど、困ったような笑顔は当時とひとつも変わっていなかった。
「……たけ……る?」
名前を覚えていた事が嬉しかったのか、猛は少し照れたように笑って「久し振り」と声を返した。懐かしさと、戸惑いとが一気に押し寄せ気持ちがグラグラと揺れる。
猛の声を聞いただけで、昔の好きだった気持ちが蘇り唇が震える。笑い合ったあの日も、最後に見た猛の表情も、借りたまま返しそびれているハンカチの匂いも、全部、全部、全部……。
まるで昨日のことのように鮮明に記憶が駆け抜けていく。
しかし、今はそんな事に浸っている場合ではなく、エメさんと待ち合わせをしているのだ。
思い人との偶然の再会と、初めて会うネトゲのオフ会と、同時に訪れるとか裕弥の中ではキャパシティオーバーもいい所である。
「ごめん、今、人と会う約束してて……。だから、ちょっと待ってて欲しいんだ。彼が来たら事情を説明して少し時間貰うから。いいよな?」
猛に去って欲しくなくて、縋るようにそう言うと猛は何故か返事をせず俯いた。それを了承と受け取り、まずは、駅に着いたというエメさんを探そうと辺りを見渡すと、再び猛に軽く肩を叩かれた。
猛が差し出す携帯の画面を見せられて、裕弥の中で一瞬時が止まった。
――……なんだこれ。
画面を霧雨が少しずつ濡らし、携帯を持つ猛の手も、裕弥の眼鏡も、濡れていく。だから雨の日は苦手なんだ。こうやって意味の分からない出来事が起こる。
見せられている画面には、先程自分が送ったメールが表示されていた。年中無休として送ったメールが。
呆然として猛を見上げると、猛は「黙っててごめん」と一言だけ言った。
「……どう、して」
掠れた声でそれだけを言うのが精一杯だった。
ずっと一緒に遊んでいて、強くて優しいエメさんは猛だった。いや、違う。ずっと好きで今でも一番好きな猛がエメさんだったの方が正しい。
「ちゃんと、話すから……。お前んち行ってもいい?」
聞きたい事が山ほどある。だけどぐっとそれを飲み込んで、裕弥は「うん」と頷いた。
歩きながら「この辺も、店が結構変わったな」なんて言う猛に「そうでもないよ」と返せば、すぐに会話は途切れる。雨が少し強くなっていて、傘を買おうか? と猛に聞いてみたが、彼はいらないと首を振った。
その後、裕弥の家に着くまで、猛はほとんど話さなかった。
気まずい……。
どうしようもなく気まずいのに、このまま猛と二人でずっと永遠に歩いてどこまでも行ってみたい気持ちもあるのが不思議だ。
結局最後まで猛は無言のままで、裕弥の自宅へと到着する頃には二人ともびしょ濡れになっていた。 背後に猛の視線を感じながら、鍵穴に鍵を刺す。フと大学の頃を思いだして胸が締め付けられるように痛んだ。
もしかしてエメさんが来るかも知れないと、出かける前に多少片付けておいた部屋に上がり込むと、渡したタオルを受け取った猛は「変わってないな……」と部屋を見渡している。
大学の頃から一人暮らしだった裕弥の家に、猛は当時毎日のように遊びに来てよく泊まっていたのだ。
猛との再会は嬉しくて仕方がないのに、騙されていたという事実があるので素直に喜べない自分がいる。
現実から逃げて、画面の中にしかいないエメさんに想いを寄せることで、やっと最近少しずつ猛の事を忘れられるようになってきたばかりだった。なのに……。
もしかして、裕弥のそういう気持ちに気付いていて、からかいに来たのではと穿った見方をしてしまいそうになる。しかし……、それは次の瞬間消え去った。
徐にベッドの脇へと腰をおろした猛が、濡れたタオルを掴んで首にかけたまま小さく呟いたからだ。
「諦めきれなくて……。こんなとこまで押し掛けて、ごめん……。会うつもりなんか、なかったんだ……」
全く意味がわからなかった。
だけど、猛のこんな切なげな表情は見たことが無かった。 猛の整った顔が、裕弥の目の前で辛そうに歪む。
「俺、最初から知ってたんだ。お前が……、えーと、無休さんがお前だって事……。知ってて近づいた」
「……何、それ……」
「実際に会わないなら、ずっと一緒に居られるかなって思ってさ……。お前、このゲームの前のシリーズ、大学の頃やってただろ?」
「……うん」
「だからきっと、新しく出たこの新作もやってるだろうなって……。名前は前もお前「年中無休」だったし。そんな変な名前、そうそういないだろ? だから俺も始めて、ゲーム内で情報聞いて、お前を探したんだよ」
「わけわかんないし……。そもそも、猛、ネトゲとか全然興味なかったじゃん」
猛が泊まりに来ても、かかさず深夜にネトゲをする裕弥に「よくそんなに夢中になれるな」と笑いながら画面を覗き込んでいた猛。一度、興味を持ってほしくて自分のキャラをかして操作させてみたが、一番最初に出て来た雑魚敵に一瞬でやられていた猛。そんな猛がギルド戦の英雄のエメさんだって?そんなの見抜けるわけがない。
「今も興味ないよ。だけど、強くなって目立たないと、ゲームマニアなお前の側にいられないと思って、相当頑張ってレベル上げしたんだ。装備も課金して、お前ならわかんだろ? エメラルの装備にどんだけ時間がかかってるか……」
「それは……、そうだけど。何でだよ。そんな事しなくても、俺は……。エメさんが猛だって最初から知ってたら、一緒にいたよ……」
「そっか……」
「俺を騙すようなコト、どうしてしたんだよ……。教えて欲しかった……」
猛は雨で濡れた前髪を無造作にかき上げると、真っ直ぐに裕弥に向き直った。
ポタリと落ちる水滴が絨毯に落ちて、そこだけ色を変える。猛は何かを言おうとして一度途中でやめ、深呼吸をした後静かに口を開いた。 男らしい眉が僅かに寄せられ、鋭い視線が自分を射貫く。
「――お前のことが、ずっと好きだったんだ。だけど……、男に告白されるとか気持ち悪いだろ……。だから、その気持ちはお前には言わないつもりでいた……」
「……嘘、だ……」
思わず猛の言葉を遮る裕弥は、自分の手が小さく震えているのに気付いた。
「だって猛、段々連絡くれなくなって……。俺もう、嫌われたのかもって……」
「逆だよ……。あのままずっと一緒にいたら、俺は……、きっとお前に手を出していたと思う。そうしたら、もう友達でいられない……それが怖かったんだ。だけど、どうしても諦められなくて……、また前みたいに一緒にいたかった……。それが仮想現実のゲーム内だとしてもさ。画面の向こうにお前がいて繋がってるってだけで、最初は満足だったんだ。でも、お前が会おうなんて言うから、我慢できなくて……。騙すような事して、悪かった……」
何という事だろう。
ずっと片思いでいたはずだった自分と全く同じ事を猛も考えていた。
自分は猛を諦める方向に持っていって無理矢理気持ちに蓋をして、何ならその上からガムテープも貼るぐらい頑丈に閉じ込めようとしていたのに。――最近漸くその罪悪感から解放されつつあったのに……。
そしてエメさんに惹かれている自分が変わりに出現していた。どうせ告白等しないのだから毎日が楽しければそれでいいと思っていた。
恋愛から逃げ、自分の気持ちを無視し続けていた間、猛は自分を探して行動し、結果こうして再会出来た。
裕弥は自分の行動力の無さと臆病さに改めて気付き、俯いた顔を上げられなかった。
「ごめんな……裕弥」
猛は一言謝って立ち上がった。二度も惚れてしまった相手が今目の前で自分を好きだったと告白している。
「もう、エメラルは退会するよ。ギルマスにはお前から「辞めた」って言っといて……。最後に、元気なお前が見れて良かった……。親友なんて嘘ついて……ごめん。親友でいてやれなくて……本当にごめん……」
――誰だ……?
猛はいつも明るくて男らしくて、結構うじうじ悩む体質の自分を毎回元気づけてくれていた。そんな猛が眩しくて、大好きでずっとずっと傍にいたいと思っていた。
だけど、今目の前の猛はこんなにも思い詰めた表情で、こんな猛が存在したことを今更ながらに気付く。思い悩んで考えて、諦めて、それでも諦めきれなくて……。
そんな普通の恋心は互いに同じ重さだったのだ。
黙ったまま玄関へ向かおうとする猛の腕を掴んで、裕弥は少し踵を浮かして猛の首に抱きついた。驚いたような猛が目を見開き、裕弥の肩を引き離す。 もうどうなってもいいと思った。
「猛っ。俺……。俺も、ずっとお前が好き……。親友なんかじゃなくて……、猛とこうして抱き合ったり、キスしたり……それから……それからっ」
「……裕弥?」
――……あ、れ?
気付いたら勝手に涙が溢れていた。
ここ数年泣いた事など無いので、泣く前兆とかもわからずそれは突然だった。猛が泣いている裕弥の身体におすおずと腕を回し、そっと抱きしめ、あやすように背中を撫でる。
ずっと焦がれていた。
そんな猛の大きな手が、いたわるように自分の背中を上下する。それは、想像していたよりずっと優しくて温かい。
耳元で「ごめん」と何度も謝る猛に、裕弥は「今日のお前、謝りすぎ」と茶化して涙を浮かべたまま猛の胸に顔を埋めた。
こんなに近くに接近した事も無いから、猛の匂いとか体温とか、そういう全てを知るのが初めてだった。なのに酷く懐かしくて、また涙が出てくる。
涙声なんてかっこ悪いけれど、それでも、気持ちを言葉にしたくて、猛の顔を見上げた。
「好きだよ……俺も好きだったんだ……。でも、猛と同じ理由で言えなかった。会社入って、忙しくしてるお前がどんどん離れていって、でも引き留める勇気も、告白する勇気も無くて……俺……、猛を忘れようと思って必死で……だけど忘れられなくて」
「うん……俺達、馬鹿みたいだな……」
裕弥の涙を親指の腹で拭って、猛は愛しそうな眼差しを向ける。初めて向けられるそんな視線が恥ずかしくて、裕弥は視線をそらして鼻をこすった。
「……それ、禁句」
「うん」
猛が少しだけ照れたように笑う。
「裕弥、改めて聞くけど……。これから、エメラルじゃない俺とも付き合ってくれる?」
「……当たり前じゃん」
他の選択肢なんて世界中探してもきっと見つからない。
猛はとても安心した様子で、それ以上に嬉しそうに笑みを浮かべた。
「あ、でもゲームはやめんなよ? エメさんの装備が勿体ないし……」
「相変わらず、ゲームマニアらしい発言だな。なんか安心したわ……」
「……うるせー」
部屋の中で二人で抱き合っているだけで、今までの人生の全てがどうでもよくなってくるほどに幸せだった。
赤くなった鼻先がジンジンする。漸く泣き止んだ裕弥が身体を離し、少し微妙な空気が流れた。
この後、どうしたらいいのだろう。
恋人同士になったからといって、ずっと親友だった相手だ。猛もそう思っているのか、頬を掻いて間の悪さをごまかすように部屋を見渡している。
裕弥は猛に座るようにいうと、冷蔵庫からケーキを持ってきて、猛の目の前にドカッとおいた。
「ケーキの話、マジだったんだ?」
驚いたように猛が目の前にそびえ立つモンブランケーキをみて苦笑する。
「うん、結構うまかったよ、これ。めちゃくちゃ甘いけど。食ってくれるんだろ」
持ってきたフォークを猛に渡し、自分もそれを握る。
「食うけど、切り分けたりしないで、このまま食うの?」
「皿洗うの面倒だから」
「……お前こういうとこ、昔っから面倒くさがりだよな……」
猛が呆れたようにそう言った後、ケーキをざっくり大きく切り取って掲げる。
「じゃぁ、二人の恋人記念日に乾杯、だな」
同じようにして裕弥も再びケーキにフォークをさす。
「色気なさ過ぎだけど。しかも飲み物じゃ無くて食い物で乾杯とか聞いた事ないし」
「別にいいよ。ファーストバイトだと思えば」
「ふぁーすとばいと?」
聞いた事も無い単語に、その時は疑問符が浮かび上がった。ファーストバイトとは結婚式などで互いにケーキを食べさせ合う儀式なのだと知ったのは後になってからだった。
結婚式会場としても人気の大手ホテルチェーンの営業マンらしい知識に、フリーターな自分との違いをちょっぴり思い知った。
猛がマロングラッセを乗せたケーキを再びフォークでさして裕弥の目の前にさし出す。
「俺からの初プレゼント、ほら。口開けろよ。あーんってしてみ」
「このケーキ、俺が貰ってきたんだけど?」
「まぁいいじゃん。無休さん、細けーな」
「その名前で呼ぶなって」
互いに食べさせ合うケーキは、同じケーキなのに、数時間前に食べた物よりもっと甘い気がした。唇の端についた生クリームを指で拭おうと自身の手を伸ばすと、猛の大きな手で腕を掴まれた。
そのまま無言で口付けと共に生クリームを舐め取られる。
「んっ……た、猛。急に、な、なに……」
「なにって、キス?」
こんな事を平然とやってのける猛は恋愛慣れしているのだろうか。自分はもう心臓発作で死ぬのではないかと思うほどに胸が苦しいのに……。
ゲームでも恋愛でも自分は猛には叶わない。
だけど、このままずっと追いつけなくて、背中を追いかけるっていうのもいいのかもしれない。そう思って裕弥は、慣れない手つきで猛の頬に手を添えると口付けを返した。 勢いを付けすぎてかけていた眼鏡がずれ、それをみた猛が苦笑して片手で眼鏡を外してくれる。
震える唇に気付かれたかも知れない。いい歳なのに、ウブだなとか、内心思われたかも知れない。そう思って恐る恐る視線を上げると。
猛は真面目な顔で言った。
「裕弥……好きだよ」
その声が僅かに震えていて、――ああ、猛も一杯一杯なんだ。と思い知る。
「俺も……、猛が好き……」
「もう一回、お前にキスさせて」
「う、うん……」
それから唇がふやけるのではないかというくらいキスをして、抱き合って、またキスをした。
外の雨は雨脚を強め、何も音のない室内に窓硝子を叩く雨の音だけが響く。
かなり伸びた猛の髪に指を絡ませ、裕弥は吐息を漏らす。キスのしすぎで酸欠になる事を初めて知った。
満足するまで互いの唇を味わった後、眼鏡を返して貰う。
「なぁ……。ケーキで口が甘すぎ状態なんだけど。コーヒー買いに行く? 俺んちコーヒーないから」
「いいけど……。雨凄い降ってるぜ? 裕弥、雨の日苦手なんだろ」
そう言われて、あんなに雨の日が苦手だった事を忘れているのに気付く。多分上書きが成功したからだ。今ならあの日の傘の柄をみても、もう何とも思わない。寧ろ……愛しい。
「――苦手じゃないよ。猛と一緒なら……雨でもいい」
猛は、目を細めて「そっか」と返し立ち上がった。傘借りるなと猛が言って何気なく「ああ、うん」と返す。
小銭と家の鍵だけをポケットに入れ玄関に向かう猛の後ろをついていく。
「鍵ちゃんと閉めとけよ?」と言った猛が手にした傘は一つで……。
それがとても嬉しくて、鍵を閉めながら裕弥はクスリと笑った。
今度はゲームの中でも、恋人の木の前で待ち合わせしよう。だって本当に恋人になったんだから。
「裕弥、早く」
「ごめん、待って」
一つの傘に男二人はやっぱり狭くて、互いの片方の肩はもうずぶ濡れだ。隣を見上げるとずっと好きだった猛が優しく微笑んでくれる。
曲がり角を曲がると、すぐに自販機が見えてくる。降りしきる雨の中、コーヒーが売り切れていますようにと願う。
そうしたら、次の自販機まで傍にいられるから……。
二度目の恋は、雨の中で。
fin
久々の短編です。
こちらは以前、青虫様主催の気象アンソロジー『weatherreport』に寄稿させて頂いた短編です。
サイトで掲載するに当たり、大好きな絵師様(さらだな様)に表紙を描いて頂けるご縁を頂きました。
脳内の想像でしか無かった猛と裕弥を、こんなにも格好よく、そして美しく。
イラストとして表現して下さったなこさんに心から感謝をしています。
まさにこの通りの二人を思い浮かべておりました。イラストを頂いた後に、大幅に加筆修正を行いまして、寄稿時よりより二人に深みが出たのではないかと思います。
イラストの力って偉大ですね。
また、小説内序盤に登場する鳴川君というのは、青虫様の小説で登場する主人公です。
アンソロジーの執筆の際、それぞれの小説がリンクするように登場させております。鳴川君の恋のお話もとても素敵なお話です。
そちらは青虫様の方で、是非読んでみて下さい。
ほとんどシリーズしか書いていない私ですが、こういう短編の読み切りもまた書けたらいいな~と思いました。
ゲームオタクでフリーターの裕弥と、普通の会社員の猛、大学時代からの恋心がやっと結ばれる過程を楽しんで頂ければ幸いです。
2019/4/14 聖樹 紫音