story7『last cigarette』

Last cigarette       「玖珂さん、起きて下さい」     夢の中で渋谷の声がする。玖珂は浮上する意識の中でその声に導かれるように目を覚ました。   手を翳し瞼を開けると、カーテンをあける渋谷 […]

貴方にしてあげたい 恋(コト)隣 story6

story 6      一緒に風呂へ入り、早めに寝室へと移動する。   すっかり体調が戻った玖珂が、折角だから明日は何処かへ出掛けようかと提案してきたが、明後日からまた忙しい日常に戻る玖珂の事を考え […]

貴方にしてあげたい 恋(コト)隣 story5

story 5      結局一時間以上かかってしまったが、出来上がった料理は本の写真と遜色ない。味見もしてみたが、やや薄目ではあるが丁度良いと思う。我ながら上出来だと嬉しくなり、渋谷は鍋を覗き込んで一人満足気 […]

貴方にしてあげたい 恋(コト)隣 story4

story 4            帰りは急ぎ足で帰ったので、エントランスに到着する頃には少し汗ばんでいた。   荷物を片手に持ち替えて、階数表示を押す。ほっと一息ついたのも束の間、エレベーターは一回も止まら […]

貴方にしてあげたい 恋(コト)隣 story3

story 3                *     *     *       まるで出来事を逆再生したかのようだ。   あれから一時間もしないうちに玖珂は自宅のベッドへ強制連行されていた。つい先ほどまで […]

貴方にしてあげたい 恋(コト)隣 story2

story 2        待ち合わせ時間の三十分も前に到着してしまった渋谷は、改札を抜けた所で側の柱に背を預けて鞄から携帯を取りだした。電車内ではサイレントモードに切り替えていたので、それを通常の物に切り替 […]

貴方にしてあげたい 恋(コト)隣 story1

story 1        ベッドの上にセットで並べられた服を前に、渋谷は真剣に悩んでいた。  ほぼ無彩色の目の前の服はどれも似たり寄ったりで、別にどのセットを選んだとしても大差がないように思える。   だか […]