俺の男に手を出すな5-15
note15 この地域では店舗の大半がかけているラジオ番組、102.7 KIIS FM。ヒットチャートを中心に若者向けの曲が常に流れている。多分に漏れず、この店でも同番組にチャンネルが合わされてお […]
俺の男に手を出すな5-14
note14 部屋にあがるとキッチンの換気扇が回っていて、夕飯の良い匂いが漂っていた。 時間が遅いので澪が先に用意してくれていたらしい。椎堂はキッチンへ入り、ことことと煮込まれているその鍋の蓋 […]
俺の男に手を出すな5-13
note13 ――木曜日。 昼休みの医局内。椎堂は窓際にあるデスクの椅子に腰掛けていた。 昼食後というのもあって、浅い眠気が瞼を重くする。さっきから、同じ行を二度読んでいたり、その逆に何行 […]
俺の男に手を出すな5-12
note12 夕方になって帰宅した椎堂は、言葉通り本当に早い帰宅だった。 「おかえり」と声をかけ、玄関を開いてやると、椎堂は「ただいま」と言って照れたように澪に笑みを浮かべた。同棲してい […]
俺の男に手を出すな5-11
note11 徐々に戻ってくる意識のせいで現実との境目が曖昧に混ざる。先に覚醒した聴覚が、秒針の音をとらえる。何度か瞬きをし目を開けると、澪が今寝ている場所は倒れた時のままだった。 あれか […]
俺の男に手を出すな5-10
note10 花束を持って二人でロバート家の門をくぐると賑やかな笑い声があちこちでもう響いている。着替えてきて正解だったようで、来客は皆パーティーに相応しい格好をしてきていた。  […]
俺の男に手を出すな5-9
note9 土曜日の夕方、そろそろ誕生日パーティーへ呼ばれている時間が迫る頃、洗面所で髪をセットしている澪の耳に、何処からかギシギシと家が軋むような音が聞こえてきた。一瞬地震かとも思ったが、別に家 […]
俺の男に手を出すな5-8
note8 「今日は病院側の研修と合同なんだって」 「へぇ、そうなんだ」 午後になって、実習に参加するために訪れた院内の受付の前で、澪は同じくボランティアに参加しているクロエと話していた。 […]
俺の男に手を出すな5-7
note7 目覚ましが鳴る十分前、きっちりと閉めきっていなかったカーテンの隙間から朝日が差し込んで、丁度椎堂の顔を照らしている。閉じた瞼の裏側が赤く染まって、椎堂は眩しさにゆっくりと目を開けた。途 […]
俺の男に手を出すな5-6
note6 明々とつけていた部屋の照明が少し眩しくて、澪はリモコンを手に取ると明るさを絞る。様子を窺っていると、暫くしてから椎堂は顔を上げ、入ってきたドアの方をじっと見つめていた。寸分の隙間 […]