さようなら、初めまして15
──memory15── * * * 永遠に終わらないかと思うほどの長い時間が過ぎ、手術中のランプが消えて桐野の手術が終わったと聞いた時は緊張の糸が一気に緩んだ。&nb […]
さようなら、初めまして14
──memory14── * * * 桐野の退院から、早い物でもう二ヶ月が経とうとしている。 術後暫くは後遺症で頭痛や目眩があったが、それもすでに治まり桐 […]
さようなら、初めまして13
──memory13── 暗い寝室のドアを開ける。 竜一の居るリビングの眩しさに、桐野は目を一瞬眇めた。竜一はとっくに拾い終えた缶をテーブルに置いて、戻ってきた桐野に安心したように振り向いた。 「何か思い出し […]
さようなら、初めまして12
──memory12── * * * 「桐野さん、いる?」 何度インターフォンを鳴らしても中々出てこない桐野に痺れを切らし、竜一は玄関を直接叩いて呼びか […]
さようなら、初めまして11
──memory11── ほんの数時間前まで竜一といたというのが嘘のように、桐野の気分は少しずつ下降線を辿っていた。 午後に雨が降ると天気予報で言っていた通り、今朝は眩しい朝陽さえ感じず、見上げた空は厚い […]
さようなら、初めまして10
──memory10── * * * 「ああ、さっぱりした」 桐野がガシガシと髪を拭きながら浴室から出てきて、側に置いてあった […]
さようなら、初めまして9
──memory9── 「ええと……明後日、会う約束したし」 「ん、ああ。まぁ、……そうだったな」 「今日泊まったら。連続で会うことになって、その……」 恋人(仮)だと […]
さようなら、初めまして8
──memory8── 竜一が電車に揺られて桐野の事を思い浮かべている時、桐野はまだ竜一と別れた駅のホームにいた。 竜一が向かった二番線のホームに背を向ける形で、ベンチに腰を下ろしている。激しい頭痛ととも […]
さようなら、初めまして7
──memory7── 金曜の夜、時刻は丁度会社員が帰宅する頃なので、どの店も賑わっているようだ。 もくもくと煙が店から溢れ、それにのって焼き鳥屋からいい匂いが漂ってくる。昼飯を抜いたわけでもないのに、食 […]
さようなら、初めまして6
──memory6── 仕事に区切りを付けた竜一は、帰り支度をしながら会社の窓から見える外を何気なく眺めた。まだ外灯が灯る時間にもなっていない夕方だ。定時をまわってすぐ、こんな早い時間に退社するのはここ一ヶ月で数えるほ […]